莉紗「さて、何食べようかなー」 菜摘「あたし、このセットにしよっと。それにコーヒーで!」 莉紗「決まったの?どーしよー。あ、でも菜摘の選んだセットおいしそう・・・! 一緒にしちゃお、それとアイスティーでいいや」 注文を終えて料理が運ばれてくるまで2人で話をしていたら急に莉紗が・・・ 莉紗「ねねね、菜摘って何で彼氏作らないの?欲しくない?」 菜摘「んぇ?!あー・・・欲しくなくはないです。」 莉紗「紛らわしいわっ!欲しいんでしょ?サークルでだってさ、 結構仲良い人いたじゃん?」 菜摘「んー・・・どうかねぇ。」 莉紗「そうなの?じゃー・・・翔太は?」 菜摘「翔太はね、良い人でしたね・・・。」 莉紗「え?何それ、何かあったの?」 菜摘「・・・良い人でしたよ。」 莉紗「何よー。言いなさいって!」 菜摘「告白された。3年の最初の頃。で、断ったら何かあまり話さなくなって・・・」 莉紗「告白?!初めて聞いたんだけど!ってか、でも今も仲良くない?」 菜摘「最近、復活しました、友情がね。」 莉紗「あー・・・そういうことかー。」 もうそろそろ恋愛話やめませんかね? そりゃあたしにだって好きな人はいたよ? でもねー・・・。 莉紗「じゃあ、他にいるの?誰か気になってる人」 菜摘「いない」 莉紗「?恋愛する気ある?」 菜摘「なくはない。」 莉紗「もうやめろ!それは!」 菜摘「ごめんなさーい」 思い出すんだよね。こういう共学の場にいるとさ。 今は友情を大切にしたいんだよ。 4年間も共学で大学通ってて何言ってんだって感じだけどさ、 でも今は友情のが大切なんだよね、恋愛よりも。 莉紗「まぁ、言いたくないならさ?これ以上は聞かないけどさー・・・」 菜摘「いつかね、言える日が来たら莉紗にはちゃんと言うからさ」 莉紗「うん」 菜摘「もう少しだけ時間ちょうだい」 莉紗「しょうがないなぁー!何つって。いくらでも待ちますよ?菜摘のためならね。」 菜摘「ありがと」 莉紗「いーえ」 それから注文した料理が運ばれてきて、 莉紗はあたしと一緒のセットにして当たりだったって喜んでた。 食べてる最中も食べ終わった後も他愛ない話でまた盛り上がった。 そして、時計の針が4時を回った頃・・・ 莉紗「あたし、もう帰って寝るわ。明日は素で遅刻できないしさ。」 菜摘「そう?じゃあ解散しますかー?」 莉紗「うん、だってせっかく頑張って就職決まったのに卒業できなくて取り消しってありえないでしょ。」 菜摘「だね!頑張って来いよー」 莉紗「はいよー、また明日ね。」 菜摘「うん、ばいばーい。」 あたし達はファミレスを出た後すぐの角で別れ、莉紗は地元なので歩きで、あたしは電車に乗って帰った。 ・・・莉紗には話そうかな。 考えていた。 あたしは中学のとき、ほとんど友達がいなかった。 そして男が嫌いだった。 男っていう存在から離れたくって、女友達がたくさん欲しくて 高校は女子高に進学。多いってほどじゃないけど・・・そこそこできた。 でもあまりうまくはいかなかった。女ってのもやっぱりいろいろある。 それから・・・就職しようと思ったけど当時の担任やら、親に勧められて、 落ちる覚悟で受けた大学に見事合格。それからまた共学生活がスタートして、4年目。 また、友達を増やすことに専念して、周り見えなくなって 人の気持ちに気付くことできなくって翔太を傷つけた。 気まずくなんかなりたくなかったけど・・・好きじゃないのにつきあったって 何も見えない。それこそ逆に翔太を傷つけちゃうって思ったから。 友達として、あたし達は仲良かったから・・・尚更なんだろうな。 期待させる態度を知らない間に取っていたのかも知れない。 でも何とか、復活して・・・今となってこそ平和な学生生活。 もう学校っていう存在の中でのゴタゴタは嫌だった。 莉紗っていう大切な・・とても気のあう友達もできた。 あの頃も今も、それで十分だった。 それだけで十分だった・・・。 そんなことを考えていたら駅についていた。 危うく乗り過ごすところだった。 そして、自転車で10分で家に到着。 菜摘「あー・・・疲れた、っと。ん?郵便・・・ポストに手紙来てるかな。」 ポストには3通の封筒と2枚のハガキ。 このポストの中に入っていた手紙にこんなに、 振り回される自分がいるなんて宛名を見るまで思いもしなかった。 3.ハガキ 閉じる