莉乃「…いつから?」

「3ヵ月前。」

莉乃「どこで知り合ったの?」

「同じバイト先の子。」

莉乃「あたしの何が…いけなかった?」

「そういうんじゃない。」

莉乃「じゃあ…何でよ!」

「ごめん。」

莉乃「も…いい。もう知らない!」


たった今、ずっとあたしのそばにいてくれた大切な人はただの人になった。

あたしは、2年付き合っていた彼氏と別れた。

原因は、相手の浮気。

何がいけないのか、なんてわからないまま。

ただ、相手にあたしよりも好きな女ができたというだけ。


澤村莉乃、21歳、大学3年生。


何もかも嫌になる。

何を信じて生きればいいのかわからなくなる。


2年も一緒にいて、もう隠すことなんて何もなくて。

何もかも知り合えてて、あたしたちは仲が良かった。

でも時にはうまくいかないこともあって、

ケンカもしたし、別れ話が出たこともあった。

それでも、何とか持ち直して、今まで続いてきた。


最終的には、相手の気持ちがあたしから離れていた。


しかも、3ヵ月も前に。


気づかないあたしもあたしだけど…

それだけ、相手のことを信頼していたからなのに。









*









莉乃「ひっ…っく。ひ…」

あたしは泣いていた。

涙が止まらない。

あたしはどれだけあいつのことが好きだったのかを思い知った。


夜の公園。

時間は23時を回っていた。

携帯には、母親の携帯からの着信が3件、メールが1件。

早く帰らなきゃ。

でも帰りたくない。

あたしは足に顔をうずめた。


「…莉乃?」

莉乃「へ?」


あたしは、泣きはらしたぼろぼろの顔を上げた。


莉乃「りょ、遼ちゃん…。」

遼「やっぱり莉乃か!何してんだ、こんなとこに1人で……ん?お前、泣いてんのか?」

莉乃「や…その…」


あたしが何をどう伝えていいのか迷っていると、

遼ちゃんはあたしの前からいなくなった。

夜の公園で1人で泣いてるよくわからない

幼なじみなんか放って帰ったのかも知れない。


遼ちゃん…こと、高瀬遼はあたしの2コ上の幼なじみ。

ずっと、同じマンションに住んでいて、小さい頃から仲が良かった。

遼ちゃんが20歳のときに、マンションを出て、

近くのアパートで1人暮らしを始める前までは、

3日に1回は会っていた。


遼「ん。」

莉乃「冷たっ!」

遼「これで目ぇ冷やせ。」

莉乃「…ありがと。」


遼ちゃんは、自分が持っていたタオルを水道水で浸し持ってきてくれた。


遼「何があったか知らねぇけど…女が夜に1人でこんなとこいんなよなー。」

莉乃「ごめ…。ちょっと帰りたくなくて。」

遼「…そっか。」


あたしは、遼ちゃんが貸してくれたタオルで涙を拭い、

目を冷やしながら、話しかけた。


莉乃「遼ちゃん、何で公園にいるの?」

遼「バイト帰りにちょっと寄っただけ。俺、考えたいことあるときここ来んだよ。」

莉乃「そなんだ。」

遼「おー。」

莉乃「懐かしいよねぇ、ここ。」

遼「覚えてたんだ?」

莉乃「たまーに来て遊んだよね。」

遼「あぁ。」

莉乃「遼ちゃんがジャングルジムから落ちたのは忘れられないなぁ。」

遼「それ今すぐ忘れてくんねーかな?莉乃ちゃん。」

莉乃「へへ。やだよーだ。」

遼「お前ね…!今でも傷残ってんだぞ、ほら。」


そう言って、あたしに腕を見せてくれた。


莉乃「本当だ!…でもあれってさー…あたしのこと助けてくれたからだよね。」

遼「そうだっけ?…あんま覚えてねぇや。」

莉乃「あたしが落ちそうになったのを支えようとして、無理で遼ちゃんが落ちたんだよ。」

遼「何か俺ダサくない?」

莉乃「そんなことないよ。小さかったんだからしょうがないって。」

遼「ならいいけど。…少し落ち着いてきたみたいだな。」

莉乃「ん。」

遼「ほい。」


遼ちゃんが手を差し出してくれて、あたしは力を借りて立ち上がった。


遼「さ、帰るか。」

莉乃「も…少し…いる。こんな顔じゃ帰れない。」

遼「でも…莉乃の母ちゃんだって心配すんだろ?」

莉乃「大丈夫だよ。」

遼「けど、メールぐらいしとけー。」

莉乃「うん。」


あたしは携帯を開いて、お母さんに、『友達の家に泊まります』と書いてメールをいれた。


莉乃「遼ちゃん、ありがとね。あたし…ファミレスにでも行くよ。」

遼「だって…お前その顔じゃ…」

莉乃「やっぱ、ひどい?」

遼「な、なかなか?」

莉乃「どうしよ。」

遼「友達とかは?」

莉乃「んー…那海が朝までバイトで…」

遼「なっちゃん!懐かしいな…。じゃなくって、そっかー…。」

莉乃「ま、適当にやるから…大丈夫。」

遼「…俺ん家来るか?」

莉乃「え…?」

遼「ほっとけねぇよ。莉乃さえ良けりゃ、泊まってってもいいし。」

莉乃「あたしは…助かるけど。でも…いいの?」

遼「構わねぇよ。」

莉乃「ありがと…。」

遼「ちなみに何もしねぇし?」

莉乃「遼ちゃん!」

遼「はは!冗談だって。幼なじみに手ぇ出すほど困ってねぇよ。」

莉乃「それはそれでショックなよーな…?」

遼「アホ!つーか、お前、ガキじゃん?」

莉乃「な!もう21だもん。それに、2コしか変わらないじゃん。」

遼「2コっつーのは広いもんだぞー?」

莉乃「別に普通だよーだ。」

遼「ん?」

莉乃「彼氏……元カレ、が2コ上だったし。」

遼「へぇ?」


あたしは知らない間に大分、遼ちゃんに元気付けられていた。

遼ちゃんはあたしと元カレのことを何も知らない。

その代わり、あたしのことを産まれたときから知っている。

あたしの本当の奥底の部分を理解してくれてるのは、

両親やきょうだいじゃなくって、実は、遼ちゃんだけなのかも知れない。










*










遼「ちょい待ってなー。鍵鍵。」


遼ちゃんの住んでいるアパートに着いた。


《ガチャ》


遼「どーぞ。」

莉乃「お邪魔しまーす…」

遼「その辺座ってて。今、何か飲み物持ってくる。」

莉乃「ありがとーっ。」

遼「ん。ペット茶しかなかった。平気?」

莉乃「大丈夫。」

遼「莉乃」

莉乃「ん?」

遼「何で泣いてた?」

莉乃「…彼氏に振られた・・から。」

遼「…そっか。」

莉乃「それだけ?」

遼「深く聞いていいわけ?」

莉乃「うん。」

遼「じゃあ…ー」

莉乃「ね、遼ちゃん。信用してる人に裏切られるのって怖いね。あたし、こういうの初めてだ。」

遼「…ん?」

莉乃「今まで、いくつか恋愛して別れも知ってるけど…でも振られたことなかったんだ。」

遼「そ、そう。幸せに生きてきたんだな。」

莉乃「というか、お互いに気持ち離れちゃったり、自然消滅だったりとかだったの。」

遼「あーそういうこと。」

莉乃「浮気されて…あたしはまだあいつのこと好きで…このもどかしい気持ちがさ…」

遼「行き場ない?」

莉乃「ん…」

遼「莉乃。」

莉乃「え。」


遼ちゃんはあたしの近くに来て、そっと抱きしめてくれた。


莉乃「遼ちゃん。手ぇ出さないんじゃなかったの?」

遼「別にこれはやましい気持ちの上じゃないからさ。」

莉乃「わかってるけど…」

遼「安心すんだろ?抱きしめられっと。」

莉乃「うん。」

遼「ゆっくりでいいんだよ。今は、行き場のない気持ちあんだろーけど…いつか忘れられるからさ。」

莉乃「うん。」


あたしはその後、遼ちゃんのベッドを借りて眠った。

ちなみに、遼ちゃんは朝起きたら、ソファーで寝てました。










*










あたしは、遼ちゃんより早く起きたので、昨日のお礼に朝食を作った。


遼「んん…?」

莉乃「あ、おはよ。」

遼「あれ?あー…莉乃か。そっかそっか。」

莉乃「忘れてたー?」

遼「んー…一瞬。」

莉乃「朝ごはん作ってみた。」

遼「まーじで?気ぃ利くじゃん!」

莉乃「昨日のお礼も込めまして。」

遼「何ならずっとうちにいる?」

莉乃「何言ってんの。」

遼「俺は歓迎だけどね。」

莉乃「いやーだ。家政婦なんか勘弁ですよ。」

遼「バレたか。」

莉乃「バレバレだっつの。」

遼「ま、これからはいつでも来いよ。」

莉乃「…ありがと。」


遼ちゃんは、あたしを笑わせてくれる。

遼ちゃんがいたから、あたしはきっといつも笑ってたのかな?



いつの間に、忘れたんだろう。




もう恋なんていらない。

不安定な想いも、幸せな想いも、浮き沈みも…。


全部いらない。


2.同情…?

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