「リリリリリリリリリリリリリ---------------・・・ッ♪」


朝6時

早くからなる目覚ましの音

でも一般的には早くないのかな?

あたしの通う高校は地元の高校で家から歩いて15分くらい。

多分、かなり近い。

6時に起きなくても十分、間に合う・・・

けど、貴重な睡眠時間を削ってまで会いたい人がいる・・・


----------・・・


あたし、木田朝未16歳、高1

7時過ぎに家を出て学校には30分には着くようにしてる。

HRは8時30分。それまでの「1時間」あたしの楽しみは・・・


『ガラッ』ドアが開いた


「おー?おっす。朝未はあいかわらず早ぇな?」

「おはよ。ん・・・と、あ!朝のひとりの教室、好きなんだよねー・・・」

「前、言ってたな。俺、邪魔?着替えたら行くから。」

「じゃ、邪魔じゃないよ。大丈夫。寂しいときもあるし。・・・西村は朝練?」

「あー、そう。・・・寂しいって何が?」

「えっ?!あ、いや、その・・・ねぇっ!西村、朝練に遅れちゃうよ?」

「あ、やべっ!じゃ、またな。」


西村はバタバタしながら出て行った・・

そう、あたしの好きな相手は西村暁弘。

高校に入って初めて隣の席になったやつ。


きっかけはバスケだった。

体育のとき、何回頑張っても入らなかったあたしのシュート

だから放課後、練習しようと思って行った体育館。

静かな中に響くボールの音

そこに、たまたま通りかかった隣の席の西村。

何も言わず教えてくれたポイント。

おかげで今では、かなりの確率で入るシュート。

そんな些細なこと。

今では友達にも昇格して、いろいろ話すようにもなった。

それから恋へと気持ちが変わったのはすごく加速的だった。

ひとつずつ知ってく一面に、ドキドキしながらも募ってた想いだった。

窓から見える西村の姿。

うちの高校は席側の窓が体育館寄り。

大体、開け放たれてるドア

ボールの音、人の姿、声。

聞こえてくる、見えてくる。

それが楽しみで来てる教室。

そんなことを考えてる間に30分も経っていた-----・・・


『ガラッ』ドアが開いた。


見つめてた窓側。

慌てて音の方を向いた。


「あー暑い・・・。」

「あ、お疲れ・・・」

「・・・お前ってそうやっていつも窓側見てるよな」

「え?そう?・・」

「見えるから。部活の休憩中に座ったとこから」

「あ・・・」


今ならきっと言える

あたしのスナオナキモチ・・・


「あとさ、朝未。さっきの言ってた『寂しい』って何?」

「え・・・と寂しいって言うのはただなんとなくだと思う・・・
 教室にいるとね、そう感じるの。
 ・・・窓側を見てるのは、見たいものがあるから・・・」

「ふーん。見たいもの・・・な。」


言ってしまおうか・・・全てを。


「あ、あたしが見てるのは・・・西村だよ。」

「・・・・・・えっ?マジ・・?そか、俺のこと気にしてくれてるってこと?だよな?」

「・・・うん。あたし西村のことずっと好きだった。」

「俺がさ、お前のその寂しさって埋められる?」

「え・・・?十分だよ、もう今ので十分。」

「じゃ、今度からは体育館まで来てくれよ?俺だって朝未を見てたし。」

「えぇっ!!!!!」


朝のあたしの日常的な出来事が、楽しくなる予感がした。

ひとりからふたりになることができたから・・・

これからは全てが満たされる毎日が送れるかもしれない。


時間は回る。

教室に人が溢れてくる。

これから始まる新しい生活----------------・・・



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2003/11/24

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