《キーンコーンカーンコーン♪》 チャイムがなる。 今日もやっと1日が終わる。 「あーーーー!!!何で今日、日直なんだろー・・・。帰れないし・・・」と菜都。 「仕方ないさ。3ヵ月に1回だしガマンよ、ガマン!」と雪。 雪は同じクラスの友達。 「菜都、悪いけどあたし今日、塾だから先に帰るね」 「うん。わかったー。また明日ねぇ」 「日直頑張れ!じゃあバイバーイ」 1人きりの教室。 部活をしてる人達の声が少しだけ窓越しに聞こえてくる。 そのとき----------・・・ 『ガラッ!!』 ドアが開いた。 あたしは音の聞こえた方向に振り返る。 「あれー?北原さんじゃん!何、補習?ってんなわけねーか」 ・・・? この人、確か名簿順であたしの2人くらい後ろの清瀬くん?だっけ? 「・・・違うよ。日直で残ってるだけ。日誌まだ書いてないし」 「あぁー。お疲れさん」 「うん・・・?飴?とか食べてる?イチゴの匂いがする・・・かも」 「あー・・・北原さんも食う?」 「え、あるの?」 「・・・ないけど」 「え?」 唇に何かがあたった・・・。 それと共に口の中に甘い甘いイチゴ味が広がる。 「じゃーな」 今の空気とは合わないくらい甘い甘いドロップス。 あたしは呆然として何も言えなかった。 でもね、今、思うとあたしはあの時泣かなかった。 本当の本当は嬉しかったのかも知れない。 知らないうちに、好きだったから、 ただ、素直になれなかっただけなのかも知れない。 ----------end---------2005/05/17Back→Nobel