空がオレンジ色に染まる頃、あたし達は帰り道をゆっくりと歩いた。

「・・・ねぇ?あのさ、・・・何か幸せ」と美夕。

「いきなり何さ。」と直樹。

「ずっとずっと言えなかったから・・・すっごい心がスッキリした感じ。」

「ふーん。何、お前そんなに俺のこと好きだったんだー?」

「なっ!!・・・うん。」

「え!あ、そーっスか。」

「・・直樹も何か暴露してよー。」

「は?・・・・・・あー、俺も好きだったよ?
 気になりだしたのは凌さんと美夕母のこと聞いてからだけど。」

「・・・へぇ。結構前なんだねぇ?」

「うっさいよ。」


こんな他愛のない会話が嬉しくて嬉しくて仕方ない。

家が近くなってあたし達は門の前で話してた。


すると・・・


「美夕ー?帰ったのー?」と母。

「おっお母さん!!」と美夕。

「こんばんはー」と直樹。

「こんばんは。・・・オルゴール直ったの?」

「え?何で・・・」

「さっき洗濯物置きに行ったら、部屋にいつも置いてある
 オルゴールなくなってたし、鳴らなくなったのは
 実は前にちょっといじった時に気付いてたのよ。」

「・・・内岡さんに直してもらったの。」

「あらー。懐かしい。ねぇ、美夕。お母さん、もう
 美夕に聞かれたら何でも答えるわ。だから、
 もし気になることがあったら言ってちょうだい?」

「お母さん・・・」

「あー・・・いけない!!お味噌汁つくってる途中だったわ。
 じゃあ、ごゆっくり!」

「・・・ごゆっくりって。」

「ってかさ、美夕母、何か変わったな。」

「え、そう?」

「変わったよ、明るくなった。・・・さーて、美夕母の
 許可も下りたし夜デートでもしますか?」

「・・・うん!」



空に星が輝き始める頃、手を繋いであたし達は来た道を戻っていった。


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2005/05/16
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